ボランティア活動について
東京支部 佐藤 勉
※事務局・注 写真をクリックすると拡大表示されます。
退職後は社会へ還元するつもりで、ボランティアを考えていました。今回、後輩の方の参考になるように、私が参加したボランティアについて紹介したいと思います。
- ①JICAシニアボランティア(SV)
四十才以上を対象に国別・職種別に募集がネット上掲載され、自分に適したもので応募します。試験は年2回あり、書類、語学、健康診断と個別面接で判定されます。合格後は福島県二本松の訓練所で、青年ボランティアと一緒に65日間の訓練を受けました。毎日3時間以上語学訓練の他、文化や任地で必用な技術や訓練所住民との交流等があります。朝礼では赴任先の国旗掲揚が順番にあり、夜は11時の消灯まで忙しい時間を過ごします。日曜は休日ですが、訓練所内では禁酒で、違反すると退所、即失格となります。卒業語学試験に合格すると、公用旅券が配布され、赴地に向います。タイ赴任の同期は7人共SVでした。赴任先はバンコク郊外にあるBIOTECという生化学系の研究所でした。研究所ではワクチンや稲の耐塩性研究等の他、香り米(ジャスミン香を付加)や冬虫夏草のコレクションでは実績のある研究所です。私のテーマは、相手側の責任者と相談の結果、タイの重要な産業であるエビの養殖において、プロスタグランジンの関りを調べるために、プロスタグランジン類の分離条件を検討することになり、女性研究員とHPLCで実験を行いました。現地では標準的なタイ生活ができる程度の生活費が支給されます。バンコクに行けば日本の食材が入手可能ですが、当然高くつきます。1年間楽しく過ごし、帰国後もコロナの前までは、毎年研究所を訪問していました。
調停委員とは離婚、親権者指定、養育費、子との面会交流や遺産分割等家事事件全般を扱い、非常勤の国家公務員(最高裁職員で任期2年)です。給料はでませんが、時間に応じて手当が出ます。募集は年に2回で、一般的には40才以上で応募でき、税理士や不動産鑑定士、カウンセラーが採用され易いようですが、財産を扱うせいか元銀行員、商社員や損保会社出身者が多くいました。午前と午後の二部制で、男女一名ずつ組となって担当します(遺産相続では弁護士と組になります)”傾聴”がキーワードで、当事者の話を聞き、双方の妥協点を見出すことが仕事です。裁判所の研修の他、種々の勉強会があり気が抜けません。勤務の曜日指定もできるので、他の仕事との兼任が可能です。私は月に15回程度担当したので、70才の定年までに700件近くなりました。約半数は離婚調停でしたが、子との面会交流が争点となることが多く気を使いました。調停ではそれまでの経緯を聞くので、内容に驚かされることも多く、貴重な経験をしました。70才後は参与員となり、氏名や最近話題になっている性別変更等の戸籍変更を担当し、3年間に52件担当しまし、法律の効力を実感しました。
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