社会貢献コラム
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2020/3/16 3R活動の一環としておもちゃ病院を開設(東京支部 佐藤 敬文 氏)

3R活動の一環としておもちゃ病院を開設

 

東京支部 佐藤敬文

 

2012年リタイヤを機に何か社会貢献できることはないかと考えていました。

自分でも楽しく続けられることを念頭におもちゃドクターを思いつきました。今まで鉄道模型製作を趣味にしており、幸いなことに必要な工具は殆ど揃っているし、それなりの技量は持っていると自負していました。

早速、日本おもちゃ病院協会の開催するドクター養成講座に3日間通い入門編と実習編を受講し最終日に協会の会員となりました。

私の住んでいる板橋区は人口が60万人もいるのに、23区の中でも数少ないおもちゃ病院無医地区なので、他のおもちゃ病院とバッティングする危惧もありませんでした。区内に区立エコポリスセンターがあり区民に環境問題や3R活動(Reduceリデュース、Reuseリユース、Recycleリサイクル)の啓発を行っています。おもちゃ病院はこの趣旨と一致します。区内に住む未活動の協会会員ドクターを募り、5名でセンターに団体登録を済ませました。これで会場と費用の心配はなくなりました。あとは病院開設の広報活動です。区の広報誌で紹介してもらい、私たちも掛かりつけ医の待合室、行きつけの散髪屋さん、近くの保育園などにポスターを掲示して広報活動を行いました。おかげで開院初日は23個の患者(おもちゃ)が来院しました。

その後は定期的な区広報誌への掲載、協会のホームページ、友達同士やママ友の口コミ、SNSなどで認知度は上昇し、それに伴って患者(おもちゃ)の数も増えました。最近では毎月第二土曜日だけの開院で、平均40個前後(年間500個)のおもちゃが来院します。来院者の半数近くは初めての来院です。

当初はいずれ月2回の開院で来院者の目の前で会話をしながらの治療を考えていたのですが、受付で会話しながらの詳しい問診(どこが壊れた、本来の動き、どのように治療して欲しい)に時間が掛かり、軽症以外は入院してもらい、ドクターが自宅に持ち帰って治療し、翌月の開院日に退院としています。ドクターも増えて今は8名体制となりましたが、丁寧な対応と治療をモットーとして月2回は諦めて、月1回開院を継続しています。

治療は故障部位の特定から始まります。故障の原因がわかったらまず部品交換をしないで治せるか、部品を交換すれば治るのか、部品が入手できない場合は自作出来るかなどを考えてから治療に入ります。

自分で解決策が見つからない場合は他のドクターと話し合ったり、ネットで他地区のおもちゃ病院の修理方法を検索したりしています。

開設以来の治癒率は96%と殆どのおもちゃは完治して退院できました。治らないのはICが破損していて交換できない、部品が入手できない、部品自作不可能などです。

ボランティア活動ですから治療(修理)代は無料で、部品交換が必要な場合は実費(平均して100~300円)をもらっています。出来るだけ安価に抑えるために秋葉原電気街の路地のパーツ屋巡り、ネットのアマゾンやアリババで中国製の安いパーツを取り寄せ、ネットオークションでジャンク品(動かないが部品取り用)を探したりしています。

当初電子系おもちゃなど難しいおもちゃが来たらどうしようと気をもんでいましたが、実際に持ち込まれるおもちゃは男の子ならプラレール、ラジコン(車・ヘリコプター・ドローン)、トミカのミニカーなど、女の子ならしゃべるぬいぐるみ、犬の歩くぬいぐるみ、おままごとセットなど、幼児ならアンパンマン、音の出るおもちゃ、キーボード、ピアノなど、お年寄りなら思い出の詰まったオルゴール、ヒーリング(癒し系)ドールなど種種雑多でいまだに初めて見るおもちゃもあります。

最近のお子さんはおもちゃを大事にしないと思っていましたが誤解でした。

お子さんが、困った顔、半べそ状態で持ち込んだ足が折れた犬のぬいぐるみ、お下がりを繰り返した70年代製のプラレールなどが完治し、お子さんの目を輝かせた笑顔をみると治療の苦労は一瞬で吹き飛んでしまいます。

今まで治療したおもちゃは3,500個を超えました。

これからもあの笑顔見たさに続けたいと思っています。

 

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